手術室で活躍する看護師には求められるスキルとして真っ先に挙げられるのが対応力と柔軟性です。手術においては何が起こるかわからず、患者さんの様態の急変をはじめとした不測の事態も起こりえます。また、手術が予定通りに進まずに時間がオーバーしてしまうこともありますし、さらには急患が運び込まれて緊急の手術が行われることもあります。こうしたケースにもすぐに対応できる、状況に応じて必要なことをきちんとこなせるだけの対応力・柔軟性が求められます。これは知識として学ぶだけではなかなか身につかず、経験を通して「慣れていく」必要があるスキルになるでしょう。

それから厳密にはスキルとはいえないかも知れませんが、必須なのが体力と気力です。失敗が許されない極度な緊張状態のなかで集中が求められる現場で活躍することになりますし、手術によっては数時間かかることもあります。その間立ちっぱなしの状態で集中力を切らすことなく求められる役割をしっかりとこなす。そのためにも気力と体力は欠かせません。せっかく専門的なスキル・知識を持っていてもこの2つを備えていないと十分に発揮できないでしょう。

もう一つ重要なスキルは何でしょうか？それは患者との信頼関係を構築していくためのスキル。つまり看護師として基本的なスキルです。手術室の看護師というとあまり患者と直接関わる機会が少ないように思えますが、術前の健康状態のチェックや患者の精神状態を安定させるためのコミュニケーションなど、手術を問題なく進めていくうえでこの基本的なスキルはとても重要な意味を持っているのです。